お客様は神様ではない

商売というのはどんなジャンルでも、お金を払ってサービスなり製品なりを消費してくれるお客様があって初めて成り立ちます。

しかしよく言われる「お客様は神様です」ってフレーズ、ルーツををたどると意外な意味を持っていたようです。

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三波春夫の一言が

このフレーズはトリオ芸人・レツゴー三匹のネタ前のつかみで、じゅん「じゅんでーす!」長作「長作でーす!」正児「三波春夫でございます(ここで頬をひっぱたかれる二人からのツッコミ)」のフレーズと合わせて流行りだしたそうです。

三波春夫オフィシャルサイトにこの辺のことは書いてあるのですが

三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズです。三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのです。

(中略)

このフレーズへの誤解は三波春夫の生前から有り、本人も私共スタッフも歓迎出来た話ではないと思っておりましたが、静観しておりました。本当に意味するところについては、本人がインタビュー取材の折に聞かれることが多かったので、本人がその度にお伝えしておりましたが、それは次のような内容でした。

とあり必ずしも(流行った)言葉通りの意味を指していたわけではありません。

こ中で言及されているインタビューというのが実はNEWS23・多事総論のアーカイブに残っておりまして、これは三波春夫と永六輔の対談という形だったのですが

三波春夫さん「「神とは己の心の中に住む尊いものだという」」

永六輔さん「客席に神様がいらっしゃる、それはお客いうよりはあの劇場の中の空間の中に神が潜んでいるという言い方だったんです」

三波春夫さん「ですから、お客様はと聞かれた時に『お客様は神様のようです』と言ったらこれが始まりの言葉です、はい」

「神とは己の心の中に住む尊いもの」「客席に神様がいらっしゃる」つまりこれは御商売全般のことではなくあくまで芸事として、かつ芸を行う上での演者自身(ここでは三波)の心のありよう、内面のことについて述べたものだということがわかります。一般化された「売る人と買う人」という関係性について述べたものではないんですね。

言葉というのは使われていく中で、あるいは時代が下ることによって新たな意味が生み出されていくものですから、今使われているような言葉通りの意味が悪いわけではないのですが。

紛らわしいのが松下幸之助

松下幸之助も著書の中で語感が似ている「お客様は、王様です」ということを述べているようです。

これもお客様の言うことは絶対だ、という意味かというとそうではなくてこちらの質問の回答で触れられていまして

「国を守る王様の言うことを、ごもっともごもっととばかり言って従っていると、間違ったこともそのとおり行うことになり、国にとって良くない。むしろ、たまには、王様に苦言を言い、気付いてもらうことで、良い国づくりができる」

というのが本質だそうです。やっぱりちょっと皆さんの普段感じている「お客様は神様」のニュアンスとは違うんじゃないでしょうか。

いずれにしても「お客様は神様・王様」というフレーズは顧客自身がクレームや理不尽な要求のために口にするべき言葉ではありませんのでご注意を。

そういえばドラマ・王様のレストランでは松本幸四郎演じるギャルソン・千石が「私は先輩のギャルソンに、お客様は王様であると教えられました。しかし、先輩は言いました。王様の中には首をはねられた奴も大勢いると」と言っていましたね。

売り手やサービス提供側としては自分自身の仕事の有り様を時々見直すための鏡のような言葉としてとらえておくのが良いのではないでしょうか。

んじゃ。




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