多分、女子大生が言いたいのはそういうことじゃない。

当事者じゃなんであくまで推測憶測。っていうかあえて真意をずらして受け止めているんだろうとは思っている。

スポンサーリンク

企業会計と雇用契約

こんな記事を読みまして。

女子大生でも分かる、内部留保と現金の違い。 : シェアーズカフェのブログ

「企業の内部留保を取り崩して給与を増やせ」という意見に対する反論です。反論というか、「内部留保」というものは会計上ねぇよ、利益剰余金だよ、それは労働者じゃなくて株主のものだよ云々かんぬんという説明。

言いたいことはわかる。でもね、女子大生が言いたいのはそういうことじゃないと思うんですよ。記事にある通り会計上利益剰余金としていったんカウントされたものは会社の金であり出資者のものです。

この話の前提として明示されていないのは「ではその利益はどのようにして発生したのか」ということ。これ単純に売り上げが多かったとか原料コストを下げて原価低減・利益率向上につながった…とだけの話なら簡単なんですけど。

売り上げも増えず原価低減もできず、従業員の賃金カットが利益の原資になっていたとしたら?カットという表現もあいまいですが、給与規定が明示的に定められているところならその通りの定期昇給が見送られるとか賞与が支払われないとか。もっと言えば減俸とか。つまり労働契約で決まる部分。

赤字決算にできないからこのような実質賃金カットが利益の原資になっていたら(あるいはさらに減俸なり給与据え置きの理由として利益減少を挙げているならば)「それを会計で利益剰余金に割り振ったから会社のもの・出資者のもの」って言ってしまうのはおかしいよね、というところを女子大生は言いたいんじゃないですかね。

ちなみに労働条件の不利益変更は使用者側からの一方的な通告では原則行えません(労働契約法第九条・十条参照)。

そんでですね、仮にその利益剰余金を認めたとして、じゃあそれが次の収益につながる再投資に向かっているかというと、これも個別の事例についてみなきゃいけないんでしょうけど日本全体の景気を見る限りそういう動きはどう考えても低調ですよね。

言ってしまえば株主向けのポーズのために会計上利益を出し、一方で再投資の機会をつかむことのできない経営職の責任ってどうなのよ?ということについては触れられていません。

でこの記事のさらに元ネタに踏み込むと

Joe's Labo : 筆者が「日本の弱者はとても可哀想だ」と思うワケ

では、賃上げするにはどうすればいいか。答えは実にシンプルで、もっといっぱいお給料がもらえるように、労働者自身が努力するしかない。というか、実際にそうやって賃上げしている人は筆者の周囲には大勢いるわけで、なんでわざわざ内部留保なんて議論に持ち出すの?というのが率直な感想である。

努力っていうかまぁ結果出せって理解だとしてじゃあその結果の適正な評価って何なのとか、給料低いもん同士でうまいことレース組まれて給与いっぱい増えた様に「見える」こともあるよね、とか問題はいろいろあって「おまいらがむばれ」的な単純な話じゃないでしょう。

ただし、じゃあ一切要求するな、水飲んで暮らせという気はなくて、それは再分配政策として社会保障でやるといい。つまり、市場で高値がつかない人向けの社会保障制度の拡充を政治に要求するということだ。

そういう社会保障制度必要だけど、それこそ企業会計の話をしているのになんでわざわざ政策なんて議論持ち出すの?というのが率直な感想です。

ちなみに私自身も以前勤めていた会社では定昇賞与ほぼゼロが続いて会社は「利益出たらその時は決算賞与で還元しますので」などという話を何度も聞いていましたが退職後この辺を検索してひっくり返ったクチです、はい(固有名詞は勘弁な)。

具体的な金額は書けませんが、利益剰余金の数十分の一の設備投資で無駄な残業と誤作の手戻りはだいぶ防げたよな…とは品管にいたから強く思うのでしょうか。死に金作ったら経営者としてはアウトだと思います。

というわけで企業の会計上のお作法と労働契約と労働者の責任と経営者の責任はお互いに関わりあっているけど議論するときはその辺の境界を見極めないとダメよね、というお話でした。

んじゃまた。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク