「デザインとは何か」というエントリを読んでそこから感じることなど

デザインという言葉が設計を意味するならば、田舎の零細企業で金物の図面書いたりしてる私もある種のデザイナーであるかもしれません。こう書くととっても自虐的な言い方にも聞こえなくもないですがまぁ気にしない。

いつもアートとデザインは全然違うものだということを上手く説明できないしデザインとは何ぞやということも私なんかは語れないですけど、なんかこれ読んだら実感として「なんかわかるわー」という気がした、そんなエントリ(2006年のものなのでちょっと古いですが話の本質は変わらないでしょう)を見つけたので紹介しておきたいと思います。

(今回ちょっと長いかも)

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スポルスキーさんはこう言っています

たまたまネットを漂っている最中に見つけたジョエル・スポルスキーさんのブログ日本語訳プロジェクト。この方、元MicroSoftでExcelのプログラムマネージャーをやってて今では別会社を興してそこでお仕事されてるそうです。私もあまりMicroSoft好きではないですが、あまり偏見を持たずにちょっと覗いて(もちろん翻訳版のほう)みました。そしたら「すばらしいデザイン: デザインとは何か?」というエントリを見つけ、読んでみたらなんか心に残るものがあったので一部抜粋しておきましょう。

すばらしいデザイン: デザインとは何か?

Joel Spolsky / 青木靖 訳

2006年1月26日 木曜

では、始めよう。カバーしなきゃいけないことはたくさんある。

(中略)

最初に、「デザイン」とは何か

ニューヨークにある、あの見事な褐色砂岩の建物をご存知だろうか? 精巧な彫刻やガーゴイルや美しい鉄のフェンスのある建物だ。古い設計図を探し出せば、昔の建築家がしばしば単に「美しい雷紋模様」としか書いてないのがわかるだろう。熟練の大工が美しい何かを作ってくれるのを当てにして、そのイタリアからやって来た老職人に任せておくのだ。

そういうのはデザインではなく、デコレーション(装飾)だ。我々ソフトウェア業界の人間が「鶏に口紅する」と言っているものだ。デザインには何か芸術的なスキルが必要だろうと考えているなら、その考えは捨てることだ。直ちに、素早く、今すぐにだ。芸術はデザインを強めもするが、デザイン自体は厳格に工学上の問題なのだ(しかし期待を捨てないで—今後のアーティクルで、美についてもう少し書くつもりだ)。

デザインというのは、私の用法では、トレードオフの選択をすることだ。

街角のゴミ箱を一緒にデザインしてみよう。

デザイン上の制約をいくつか挙げておく。

ゴミ箱はとても軽い必要がある。ゴミ集めが、もとい、衛生エンジニアがやってきて、ゴミ収集車にゴミを空けるために持ち上げられる必要があるからだ。

それに、ゴミ箱は重たくないといけない。そうでないと、風で飛ばされたり、ひっくり返されたりするからだ。(本当にあった話: 私の車の前にゴミ箱が飛ばされてきて事故を起こしたことがある。誰も怪我しなかったし、ゴミ箱だって無事だったのだけど。)

ゴミ箱はすごく大きい必要がある。人通りの多いところでは、一日の間にみんながたくさんのゴミを放り込む。十分な大きさがなかったとしたら、あふれてゴミが散らかってしまうだろう。そうなると、ジュースの缶を6本に束ねていたプラスチックの輪っかが海に流れて行って、絡まったかわいい小さな小鳥が窒息してしまうだろう。小鳥を死なせたくはないよね?

それにゴミ箱はかなり小さくないといけない。そうでないと、歩道で場所を取りすぎて、歩行者が脇を通るときに押し合うことになり、iPodでリッキー・ジャーベイスのポッドキャストを聞いている退廃的なヤッピーが、ジョークがあんまりおかしくて上の空で歩いていていたためにベトナム戦争の復員軍人にぶつかって、歴史的均衡について口論になってしもうかもしれない。

だからゴミ箱は軽くて、重たくて、大きくて、小さい必要がある。さらに、風でゴミが飛ばないようにふたが閉まるようになってなきゃいけない。それにゴミが簡単に空けられるように上が開いている必要がある。

あと、ゴミ箱はすっごく安価である必要がある。

傾向がつかめたかな? デザインをするときには、しばしば相矛盾する制約がたくさんあるのだ。

(以下略)

日本語訳全文はコチラ。端折った後半部分も面白いですよ。

本当にやるべきこととは

引用した部分が全てを物語っていると思いますが、要するにデザインとは色形のことではないのです。ある目的を達成するための計画を立案することであり、その過程で相矛盾する制約を天秤にかけて取捨選択する行為であり、あるいはそれを解決する方法を考えることこそがデザインなのです。

もちろん商業デザインにおいては視覚設計も重要でしょうから、目的を達成する一手法としてアートについて知らなくて良いわけでもないですがそれはあくまで手段であって目的ではないのです。

もうちょっと言えば、表面的に見える部分のみを指定するような業務の発注(例えば『○×さんとこみたいにカッコイイウチの会社の「ホームページ」作ってー』みたいな)というのはよくあることだと思いますが、そこには目的もなければ課題も見えていないのだから、ゴールにたどり着けようはずなどないのです。それをハッキリさせずにお客さんがなんとなく「うん」というまで(あるいは時間切れになるまで)作っては直しの繰り返しを毎日空が白むくらいまで深残業して頑張ってみたところで、結果的にお客さんの利益に供するような何かなど生まれるはずもありません。ちょっと考えれば当たり前の話なんですがね。

これは脱線になりますが、私の現業の絡みで言うと「土運搬用の○kwのトラフ型ベルトコンベア、幅○○mm、長さ○m、回転○rpmで作って」みたいな注文をいただくことがちょいちょいあります。で、言われたとおり作って動かしてみたらこれが乾燥したくずれやすい土で、速度も足りずサイドスカートも付いてないのでベルトの脇から土こぼれてありゃりゃ、みたいなこともあります。しょうがないので現場で切った貼ったして何とかしちゃったりするわけですが。

この話の問題点は何か、もうハッキリしてますね?「どんな性質(比重・粘土など)のワーク(荷物)を」「どこからどこまで」「どれくらいの速度で運びたいのか」という基本的な目的の部分をなしに作ったからです。大きさとかワット数とか回転数なんて本当は仕様じゃないんです。あれは機械の目的を達成する為に選定あるいは算出される「べき」タダの結果なのです。金になるからといって言われたとおりのものを受注するような営業をしててはいかんのです。馬鹿げた話に聞こえるかもしれませんが、よくある話なんですよ…

話がそれました。つまりデザイナーたるあなたが本当にやるべきことはお客さんの要求することの本質(それはお客さんが口に出して言ってることとは違うかもしれない)をあぶりだして目に見えるように示すことなのです。課題があればもちろんそれも含めて。目に見えるように示したものがそのときお客さんが心地良いと感じるかどうかと、デザインした仕事の結果がお客さんの利益に供することとはまったく別次元のことなのです。

考えてる人はちゃんと考えてる

などとまったく専門でもないデザイン論をダシに私の日頃の愚痴的なことなどを述べちゃったりしてゴメンナサイ。でも(それが質量を持つものであれそうでなかれ)広くモノづくりに携わる人たちもきっと同じように日々悶々としている部分はあると思うんですけど…あまり共感しないですかね?どうでしょう?

最近気になってるのがえなみさん(@koujienami)のブログ毒舌プランナーの異論持論。考えてる人はちゃんと考えてるんだなぁ…と。えなみさんはプランナーを名乗ってますが、内容的にどんな業種にも当てはまることがあったりするので興味のある方はぜひそちらに。どのエントリも面白いんですがとりあえず4つほどおすすめを挙げておきます。

プランナーとして活動していく中で、日々考えている事をぶっちゃけてみた

SEOとはデザイン、即ち設計である

コンテンツに求められるもの

システムとは会社の礎(愚痴有)

さて、デザイン(= 設計)の実務に当たっては本質探る為に打合せだヒアリングだといってそのテーブルに全ての情報が開示されるわけでもないし、経験に基づく「読み」も必要であったりなんとも難しいところもあるんでしょうが。

経営の視点から言えばどんな会社も運転資金は常に欲しいわけで、めんどくさい打ち合わせすっ飛ばしてとりあえずすぐ製作にかかれるような小仕事(=間接経費が少なく済んで入金までの期日が短スパンの仕事)発注してくれる「楽な」お客さんと付き合いたい、という台所事情的なことはわからないでもないのだけれど「あー今回『も』ロクな結果にならないな…」とうっすら気付きながらもただ前へ前へ進むしかないような受注を繰り返すような会社はもはや創造性のカケラもない「タダの人工の集まり」でしかないので早々に整理して店たたんだほうが世の中の為だと思われます。とたまには毒づいてみちゃったり。

すくなくともあなたがお客さんの利益に供する素晴らしいデザインをしたいと思いながらも営業的な窓口であなたとお客さんの疎通をバッサリ阻まれるようなら、その会社はあなたのいるべきところではないでしょう。そんなわけでどんな人がこのエントリ読んでるかわからないですが、デザインを志す人あるいはそれを生業としている人たちはどうぞ物事の本質を見失いませんように。

あと「おい、このエントリのカテゴリタイトルが『アート×デザイン』じゃねぇかお前それはどうなんだ!」と深くつっこみませんように。だって世の中にはしばしば「相矛盾する」ことがあるわけですから!

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