自分の置かれた現状に文句を言ったところで前向きな進展などありませんが、一応知っておいて損はないであろう情報。特に就職活動にいそしむ学生さんたちは地方の経済の実態を知っておいたほうが良いですよ。
北海道の片田舎の街、旭川。私の生まれたところでもあり、地方にしてはそこそこ人口の35万都市ではありますがはてさてその実体は。
若い人はこれを見てどう思うか
旭川市では雇用統計情報の結果について公表しています。
私の住む地域の中心都市の例として今回は旭川を挙げましたが「○○○(市町村名) 雇用 統計」などでググると自分の住む地域の雇用情報なんかも簡単に出てくることが多いので一度調べてみると面白いかもです。
さて詳しい調査結果は上のリンクを読んでもらうとして一部を抜粋してみましょう。ま、1,000事業所に調査依頼して有効回答事業所数が40%未満ってのもアレですがとりあえず。
基本給
- 20歳男性:146,741円
- 20歳女性:144,439円
- 25歳男性:168,808円
- 25歳女性:162,075円
- 30歳男性:195,205円
- 30歳女性:175,897円
- 35歳男性:218,467円
- 35歳女性:194,493円
- 40歳男性:252,105円
- 40歳女性:204,151円
- 45歳男性:262,560円
- 45歳女性:214,031円
- 50歳男性:288,430円
- 50歳女性:228,251円
- 55歳男性:289,640円
- 55歳女性:231,511円
- 60歳男性:272,469円
- 60歳女性:226,861円
男性でも30歳以下では200,000円にすら届いていませんね。男女とも55歳がピークですがそれでも300,000円に満たないという…ま基本給ですからそこそこの年齢になれば肩書きなんかが付いて手当てもそれなりにあったりするんでしょうが。
新卒初任給
- 中卒男子:130,642円
- 中卒女子:130,095円
- 高卒男子:144,065円
- 高卒女子:139,169円
- 高専・短大卒男子:154,742円
- 高専・短大卒女子:151,559円
- 大卒男子:171,056円
- 大卒女子:168,629円
正直これってここから税と社会保険料持っていかれたらチョンガーが喰ってくのが精一杯のレベルですな。多分大卒ですら貯金もままならないレベルで、将来の年金の需給も保証のない時代に「若者よ希望を持って働こう」なんてオッサンどもが言えたもんじゃないですね。
先ほどの基本給の額で20歳男性が146,741円、20歳144,439円となってます。中・高卒男女が20歳になるまで5年なり2年ありマージンがあるわけでしょ?どんだけ給料上がらないのっていう。25歳男女の基本給には高専・短大卒、大卒が含まれてるわけですから初任給と見比べるともう残念としかいいようがない。
賞与
諸手当類はちょっと割愛していわゆる夏と冬のボーナス。いずれも1ヶ月以上2ヶ月未満が半数ほど。夏期については1ヶ月未満が25%もあり、冬期でも13%強が1ヶ月未満です。
総合平均がどんだけかは書いてないのですが、1ヶ月以上2ヶ月未満には当然1ヶ月分ピッタリというところも含まれているでしょう。
年収ベースで見るとおそらく月給×15か月分(希望的観測含む)+諸手当が年収ということになるわけで、仮に諸手当合計が月20,000円くらいあったとしても(多分そんなにないけど)30歳男性でもかろうじて年収3,000,000円をキープできるかどうか、といったところです。
「年収300万円時代を生き抜くナントカ」って本も昔流行りましたが、それが当たり前の時代にもうなっているんですね。
時間外労働
1ヶ月の平均時間外労働は10時間以下が41.8%、10時間超~20時間以下が24.4%。こうしてみると意外に時間外労働って少ないようです。とはいえ、変形労働時間制を採用している事業所が67.9%もあり、うやむやになってるところも少なからずあるでしょうからあまり額面どおりには受け取れないかも。業種の違いによって差も激しい項目ですしね。
ちなみに私が以前勤めていた会社では年間の半分は月70時間以上くらい時間外が発生していまして中でもピークの1,2ヶ月は100時間(タイムカードに記録されているものだけ)とか普通に越えてました。暇期でも30時間くらいあったり…そんなとこに十ン年もいたので子どもの小さい頃の顔は寝顔くらいしか覚えてないです、ハイ。
10年何してたの
いろんな項目のある調査なので全部拾い出すとキリがないので給与面だけざっくり拾ってみました。
「こういう時代だから」右肩上がりを期待するのは間違ってるのかもしれませんけどね。ちょっと十一年前を振り返ってみると
平成23年度の状況をこれと比べると男性の給与は激減している…女性の給与は若干ながら増えています。が、労働人口分布は男性に偏りがあるでしょうから全体としてはやっぱり下がっているわけですな。あぁマイナス成長。
そもそも有効回答率が40%切ってて、じゃあ回答しない事業所の実体はどうなのよってのはもう想像するしかないんですが、下衆の勘繰りで回答できない・したくない事情でもあるんだろうなぁと思ったりしちゃうわけです。
それはおいとくとして、バブルが崩壊してもう二十余年ですよ。十年前の時点で経済がダメになってるのがわかってて、さらに打つ手なしでまた10年が過ぎ現状維持すらままならない地方ってどうなのよ。
その辺わかってる若者はあえてこの地域に残ろうなんて思わないわけですよ。そうすると才能なり力のある人は外へ出て行くし、残された者で地方を良くしていくことどころか支えることだって難しくなるのです。
こういうこと書くと地方産業界は「行政と政治のバックアップが足りない(とりあえず補助金くれ)」と言い、行政は「行政にない民間の知恵と力をもっと発揮して欲しい(お前らで勝手に考えろ)」といい水掛け論平行線のまま時間だけか刻々と過ぎていくのね。稀に「俺がこの地域・地方を良くする!」と気を吐く(そして身を削ってもいる)個人のいることも私は知っています。でもやっぱりそこは個人の限界というものがあってなかなか大きなムーブメントには繋がらないのですよ現実には。
地方行政なり産業界なりやる気と責任感はなくてもそれなりに動かせるカネと時間がある連中は人の尻ばかり叩いてないで、せめてそういった前向きな個人のパトロンたれとも思うんですが、そもそもそういったところにすら目を向けてもいないんだろうなぁ。
ちなみに旭川という街はこれといった主要産業もなく流通拠点と軍都(現陸上自衛隊第二師団/旧陸軍第七師団)として成立してきた経緯があって、人だけは多いけど地域の色がなく経済の変動をもろかぶりする…というのはずっと昔からわかってたことなんでしょうが、なんとなく今まで惰性でしのいでこれたので現状維持が肝要という極めて内向きな性質がしんそこ身にしみついてるんですかね。もしくは盆地の気候がそうさせるのか。
まとめ
縮小再生産を繰り返しいいだけしぼみきった旭川、地方都市倒産フラグが立っているような気がしないでもない今日この頃。ソヴェト連邦が倒産(あれは崩壊ではない、倒産)する前は誰もがそんなことは考えていませんでしたが逝くときは逝くもんです簡単に。
清算して再出発が可能ならそれはそれで良いのかなと若干思ったりしないでもないですが、知恵と才能のある個人は荒波にもまれて転覆しないよう、企業や行政に頼らず首都圏なり他地方相手にその力を発揮していくのも現代の生き方としてアリなのかも知れません。
あと、仕様と見積がハッキリしていないのに商談の最初の一言が「とにかく安くお願いしたいんだけど」から始まるのは不思議を通り越して不気味ですらあります。そういう連中の集まりだから地方経済は伸びねぃんだろうなぁとも思います。残念ですね。
ちなみにハローワークだけはこの地域にしては珍しく行列の出来るほどの人気店です。商売繁盛ですね。あ、店じゃねぃか。
もうこの時期は大学3年生の就活も盛んになってるとは思いますが、一企業にずっと身をおいて一生安泰な時代はとっくの昔に消えてなくなったし面白くもなんともないので、もし地方で生きて行こうと思うなら今回書いたようなところも踏まえてあらためて人生のモデルを描き直してみると多少ハッピーになれるかもしれません。
ものすごく余談ですがラーメンだけは美味い店がそこそこあったりするのでこの地域をめがけてやってくる人は知っておいたらいいかもね。
旭川人がラーメン村にいかずにどこのラーメン屋にいってるか暴露しよう*ホームページを作る人のネタ帳
ラーメンは旭川の基幹産業ではありません。念のため。
んじゃまた。
【追記】ちょっと昔の記事思い出したので紹介しておきます。
不良労働者を駆逐し、とにかく労働原価を0に近づけて健全な経営体質を作りましょう
世の中いろんな人がいて面白いですね。
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