酒井優(@glatyou)さんが
[デザイン]角丸を使う理由、不自然な角丸について徹底的に分析した
って記事で角丸について語ってたので私も書いておくよ。
border-radius…?
角丸も「なんとなく」付けられているわけではありません。それなりに理由があります。
1.さわり心地
手に取った製品にエッジがないことによって滑らかな触感になる。「手にフィットさせる」というよりもむしろ逆に「手にフィットしないと人は大変ストレスを感じるということを考えましょう。
2.怪我・対物破損を防ぐ
尖った硬質の製品は体表を傷つけたりします。純粋に安全のため、という意味。エッジは人体を傷つけるだけでなく布地や柔らかい素材(木質やプラスチック)に引っかかってそれを破いたり削ったり無様なスジをつけたりもしますよね。
3.自身の破損を防ぐ
逆に製品自身が硬質でない場合、角があることで別の何かに引っかけてしまったり破損の発端になったり。丸くない紙の角は引っ掛けて折れやすくなります。雑な扱いをして書類の束で端部が三角に折れちゃってるのは皆さんもしばしば見かけるでしょう。
あと大根とかは面とらずに煮るとすぐに煮崩れしちゃいますよね。あ、これは角丸じゃなくてどっちかというとC面か。でも壊れないためにエッジを残さないという意味では同じかも。
4.製作上の都合
鉄板なんかで四角い箱を作るとき、平らな板だけを何枚か組み合わせて作るってあんまりやりません。大抵90°曲げした板を組み合わせて溶接したりします、そのほうがトータルで溶接線長短くできるので。
で、その曲げの工程なんですが、プレスの型が鋭利でも素材自体を完全なエッジを作ることってできないんですよね。
また金属板を曲げるということは、加工によって曲げの外側に引っ張る力が内側に圧縮する力が発生しますので、加工による無駄な負荷を減らすためにもRをつけた設計をしたりもします。
あとプラスチックなんかでも完全なエッジだと整形品が樹脂型から抜けにくくなったりするので、そのために微妙にアールやC面をつけたりもします。
5.抵抗を減らしてエコに
これはもう皆さんご存知、流線型とは空気抵抗を減らすために考えられた形です。流線型も単純な円弧Rじゃないんですけどね。自動車のデザインも角型・丸型は時代の流行り廃りもありますが、総じて角ばっていないテロンとした形になっていっているでしょう?
6.内圧による応力の均等化
ちょっとメンドクセー話ですが、内圧のかかる薄肉容器(たとえばガスボンベとか炭酸飲料の容器を想像してみましょう)はその容器の板厚に直角な方向に引張の力が発生します。
角のある形状の容器は角部にその引張力が集中(単位断面積あたりに生ずる力=応力)して壊れやすくなります。これを円筒や球状にするとどの部分でも応力は同じになります(かなり大雑把な話だけど)。
より少ない材料で、変形し難い強い容器を作ろうと思ったら出来るだけ角のない形にするのが理想なんですね。
まとめ
というわけでWebの制作とはまったく縁もゆかりもないお話でした。身近なプロダクトの「丸さ」にも一応の理由付けはあるんですよ、ということで。
とはいえある意味生活の中で「見慣れた」角丸なわけですから、よく観察した上でWebのデザインに転用・流用できれば、ぐっと人を惹きつける魅力あるサイトに…いや、ならないな。多分ならないな。ちょっとどうでも良い話をしてみたかっただけ。
んじゃまた。
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