あんまりね、芸術の分野についてあれこれ言ってもしょうがないんだけどね、ちょっとしたことでも救われる気分になることはあるわけで。
ポップスの大姉御がやってきた
シンディ・ローパーさん石巻訪問 小学校に桜の苗木贈る
米国の歌手シンディ・ローパーさん(58)が5日、東日本大震災の津波で浸水した宮城県石巻市の大街道小学校を訪れた。約350人の児童が待つ体育館に両手を振りながら現れたローパーさんは、手拍子に合わせて歌を披露。桜の苗木10本を児童らに手渡し、「木は再生の象徴。桜の花を見て元気を出して」と話した。
自宅が全壊し、祖父母宅に身を寄せている6年戸田光祐君(12)は「元気をもらった。花がたくさん咲くよう大切に育てたい」と話した。
ローパーさんは震災が起きた昨年3月11日に来日、「こういう時こそ音楽で力を与えたい」と帰国せずに公演を続けた。今月11日に東京・渋谷で開くライブは、ローパーさんの意向で被災3県の映画館で無料生中継される。
(朝日新聞 2012年3月5日20時16分)
元記事はコチラ。
シンディ・ローパーといえば奇抜なファッションと独特の甘い歌声で1980年代を席巻したアメリカンポップスの大姉御。当時子供だった私には理解しがたかったですが、今思うとガガ様の30年先をいっていたなぁ…
そんな姉御ももう58歳。なんともステキな女性になりました。いや、ステキな「人」になったというべきか。
震災から1年経って戻ってきました石巻へ。義援金とかもね、そりゃうれしいですよ。でも彼女が持ってきたのは桜の木の苗。苗は放っておいても大きくなりません。子供たちが育てなきゃ。
再生は人から与えてもらうものではなく、自分達の手で推し進めるものという、彼女からのメッセージなんでしょうなぁ。歌はそのきっかけの一つだと。
ちなみに昨年の今ごろの彼女はコレ。
アルゼンチンの空港で相次ぐ遅延・欠航で殺気立つ乗客たちを、歌一つで鎮めるというはなれ業を見せた彼女。リアルリン・ミンメイですね。
これが2011年3月4日の話。彼女はこの数日後、まさに震災当日の3月11日、ツアー日本公演のために来日しました。当時の彼女のコメント。
「ちょうど飛行機に乗っていたので何が起こっているのかわかりませんでした。空港やホテルで、毛布をかぶった人たちが沢山いて心が痛みました。部屋でテレビをつけたら、本当にすさまじい状況になっていることがわかりとてもショックでした」
そして、賛否両論はあったでしょうが、最小限の電力で日本公演を敢行することになりました。
「私にできることは音楽。私の歌声で少しでも勇気を、少しでも元気を与えることが出来るなら、それが私の仕事と思ってます」
芸術・アートとはアーティストの内面にあるものを表現する行為であって、それが必ずしも現実の経済活動と結びついたり、社会的役割を担わなければならないものではありません(だから同時代人には評価されない芸術というものもたくさんある)。
が、内面に抱え続けるものではなく、外へ表現する以上何か人の心に伝わる、人の心を動かすものがなければその活動の意味がありませんよね。その点について彼女は偉大な「アーティスト」だと思います。商業的な意味じゃなくてね。
風呂場で父ちゃんと子供が一緒に歌ってるとき、その親子はアーティストかもしれません。動物園に遊びに行って帰ってきたあと、チラシの裏に一緒にあのかわいい動物を思い出しつつワクワクしながら絵を描く。これもアートかな。
桜の木が大きくなった頃、その桜を育てた若いアーティストが「シンディおばあちゃん」と一緒に歌うところが見れたらな、なんて今から妄想しております。でかくなれ、桜の木。
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