東西冷戦時代のアメリカとソビエトの洒落ではすまなかったかもしれないジョークエピソード。速報性のあるマスメディアがテレビとラジオしかなかった時代はある意味平和だったのかもしれません。
米大統領の「宣戦布告」
1984年8月8日、米合衆国大統領ロナルド・レーガンはラジオの定例演説のマイクテストでこんなことを言いました。
「国民の皆さま、喜ばしいご報告があります。私はただいまソ連を永遠に葬り去る法案に署名しました。爆撃は5分後に始まります」
通常なら放送前のマイクボリュームのテストとして「テスト中、テスト中。イチ・ニ・サン」と言うべきところでしたが、大統領は「どうせ放送にのらないだろうから好きなことを言ってみた」とほんのジョークのつもりで言ったのです。
ところが何かの手違いでこのときすでにオンエアスイッチが入っており彼の『宣戦布告』は米国営放送を通じて全世界に流れてしまいました。
当時は冷戦の真最中で、東西間の相互核抑止力の緊張によって平和の近郊が保たれていた一触即発の時代です。一度ミサイルが発射されれば連鎖的に核の応酬となりあっという間に世界は滅びてしまいます。放送によって世界中が凍りついた一瞬です。
ソビエトからの「報復」
同年その後のソビエト連邦でのこと。ソ連極東軍からモスクワに向けて「只今より極東地域でアメリカ軍及び日本軍と交戦状態に入る」という電文が発信されました。
電文はあくまでソ連国内向けのものでしたが西側諸国は当然傍受活動をしていました。この電文を傍受した日米政府は大慌てで極東軍の状況を確認したところ同軍は動員体制に入っておらず、この電文は誤報あるいは演習であると判断し一安心したそうです。
後日ゴルバチョフのグラースノスチ(情報公開)で判明したところによると、実はこの電文、当時のソビエト共産党第一書記長コンスタンティン・チェルネンコが先のレーガンの『宣戦布告』に対する『報復』として発信させたそうです。つまり西側がそれを傍受することをわかっていた上で、彼らが青ざめるような内容の電文を流していたというわけです。
結局チェルネンコもレーガンも表面上に見える文言の裏にある意図を読み間違えなかったからこそ最終戦争という大事に至らなかったわけですね。
「バカ発見器」がバカを発見しても何の役にも立たない
当時はこうした情報は、政府発表を通じてテレビ・ラジオ・新聞といった大手マスメディアからしか一般市民には流れなかったわけで、上に書いた話では世の中全部が瞬間湯沸し器的に大騒ぎになることはなかったわけです。
ひるがえって現代では、twitterを始めとしたSNS通じてソース不明の怪情報がバンバン発生してソース不明なのわかっててもRT拡散しちゃったリとか「いい加減な情報流すなゴラァッ」とか「情弱乙」とかいちいち反応しちゃう発言があったりして、そのあたりがSNSが「バカ発見器」と言われる所以でもあるわけです。
3月の大震災のときも真偽不明の救助要請とかうがい薬で放射性物質除去とかナゾのRTが私のTLにもチラホラ散見しまして、結局そのあと「アレは誤報だからRT拡散しないで」というRTが拡散するという結局何が正しいんだかわけわからないことになってましたねー。
だからといってtwitter嫌いにはならないしSNS否定もしないです。ソースなくても自由に発言できるし、やろうと思えば非公式RTで元発言改ざんして流布とかいくらでもできちゃうシステムなわけで、そもそも発言者に悪意があったかどうかとか知的レベルがどうとか元はジョークかどうかとか釣りか釣りでないかとか、結局本当のところは何もわからないのです。そもそも「誰がバカか」を知ったところであなたにとって情報的な価値はそんなに高くないでしょう?
それを踏まえたうえでスルースキルを身につけてなんだかよくわからないものは受け流せばいいし、どうにも気になるなら別の手段でソース調べればいいし、ノイズが嫌ならブロックすればいいし、オープンで流れる情報は話半分くらいに聞いておくのがtwitterとの正しいお付合いの仕方なのかなーと思ってます。
で、最近流布しているかもしれない『正しいtwitterのマナー』といわれていることのリスト。
- 無断フォロー禁止
- 無断リムーブ禁止
- 無断ふぁぼ禁止
- 無断RT禁止
- 非公式RT会話禁止
- 無断公式RT禁止
- 一日10ツイート以上ツイート禁止
- 人の彼氏彼女へのフォロー禁止
- 自分よりフォロワー数多い人にタメ禁止
- リプは3分以内に返信
無断RTするのはマナー違反?Twitterで新種のローカルルールが流行る|| ^^ |秒刊SUNDAYより抜粋。
こういった話は正しいtwitterのマナー『ではない』ので、特に最近twitterはじめたばかりの方、あまり気にせずに自由に楽しんでくださいな。
あまり気にしてイチイチ反論しているとあの世のレーガンとチェルネンコに「また1人釣れたわー。釣れたわー」と言われかねないですからね。
ちなみに『非公式RT使って元発言を改ざん』するのは「元発言も永久に保存されるわけではない」というtwitterの仕様のため本気で嫌がられることが多いので、よほど気心が知れてネタの通じて確実につっこみをいただける確証のない相手以外にはやらないほうがいい、というのは本当です。気をつけましょう。
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